「看板って、いくらくらいするんですか?」
よく聞かれる質問です。でも、これがなかなか一言では答えられません。
ものにもよりますが、安い看板なら数万円で作れるものもあります。一方で、仕様や大きさ、取り付ける場所によっては、100万円を超えることもあります。
小規模な店舗で、一般的な看板を製作して設置するのであれば、私の感覚では20万円くらいから、というのがひとつの目安です。ただ、これはあくまで目安です。同じように見える看板でも、材料が違う、大きさが違う、照明が違う、設置する場所が違う。それだけで価格は変わります。
だから「看板はいくらですか?」と聞かれると、私はいつも少し困るんです。
今日は、看板価格がどうやって決まるのか。そして、予算を抑えるならどこを工夫すればいいのか。長く看板の仕事をしてきた立場から、できるだけわかりやすく書いてみます。
看板価格は、数万円から100万円以上まで幅がある
看板価格にはかなり幅があります。例えば、アルミ複合板を使ったシンプルな看板なら、比較的安く作ることができます。
一方で、立体造形看板、LEDを使ったチャンネル文字、内側から光る電飾の欄間看板。こうした看板になると、価格は上がっていきます。
さらに、建物の間口が広ければ、当然、看板も大きくなります。材料も増えます。製作する手間も増えます。取り付け工事も大がかりになることがあります。
同じ「欄間看板」と呼ばれていても、3メートルのものと10メートルのものでは、価格が同じになるはずがありません。だから、看板価格は、「欄間看板だから○万円」「袖看板だから○万円」と簡単には決められないんです。
小規模店舗なら20万円くらいからがひとつの目安
「初めてお店を出すんですが、看板はいくらくらい見ておけばいいですか?」こんな質問もあります。
もちろん条件によりますが、小規模な店舗で一般的な看板を製作して取り付ける場合なら、20万円くらいから考えておくといいと思います。
ただし、ここで大事なのは、看板本体だけの値段なのか、設置まで含んだ金額なのか、ということです。
ネットを見ると、「看板○万円〜」という表示を見かけます。でも、それが看板本体だけなのか。デザイン費は入っているのか。施工費は入っているのか。照明工事は入っているのか。高所作業車は必要ないのか。ここまで見ないと、本当の看板価格はわかりません。
見積もりを見るときは、総額だけではなく、何が含まれているのかも見た方がいいと思います。
「思ったより高い」と言われることもある
看板の見積もりを出すと、「思っていたより高いですね」と言われることがあります。でも、これは無理もないと思っています。
普通の人は、看板なんて何度も買うものではありません。スーパーへ行けば、卵がいくらするか、野菜がだいたいいくらするかはわかります。でも、袖看板はいくらするのか、欄間看板を作って取り付けたらいくらなのか、立体看板はいくらなのか。そんなこと、知らなくて当たり前です。
だから私は、予算が合わない場合、「もっと安く作るなら、こんな方法もありますよ」と別の案を考えます。一番安く作るなら、アルミ複合板を使ったシンプルな看板にする方法もあります。
価格を聞いて、「高いからやめよう」で終わるのではなく、予算の中で、どこまでできるかを考える。これも看板屋の仕事だと思っています。
安くするために看板を小さくしたら、目立たなくなった
価格を抑える方法として、看板を小さくする。これは確かにあります。材料も少なくなりますから、安くなります。
でも、私は一度、これで失敗したことがあります。予算を抑えることを優先して、看板を小さくしました。確かに製作費は下がりました。ところが、完成してみると、あまり目立たない。看板は付いている。でも、遠くから見ると弱い。せっかく作ったのに、十分に仕事をしてくれませんでした。
これは、もったいなかったですね。数万円を節約しても、肝心の看板が見てもらえなければ意味がありません。だから今なら、単純に小さくする前に、大きさは確保して、仕様を変えられないかを考えます。
予算を抑えるなら、仕様を変える方法もある
例えば、夜も見える看板が欲しいとします。最初の案が電飾看板だった。でも予算が合わない。そんなとき、内側から光らせる電飾看板ではなく、アルミ複合板の看板を作って、スポットライトで外から照らすという方法もあります。
見え方は変わります。でも、夜に見えるという目的は残せます。
私は、こういう考え方の方が好きです。安くするために、何でも削る、ではなく、必要な機能は残して、仕様で調整する。看板の大きさが大事なら、大きさは残す。夜に見えることが大事なら、照明は残す。そのうえで、材料や構造を工夫する。
看板価格を下げるときは、こういう考え方をした方が後悔しにくいと思います。
2階以上の店舗は、看板価格が上がることがある
看板本体がそれほど高くなくても、施工費が上がるケースがあります。代表的なのが、2階以上のテナントです。
1階なら、脚立などで取り付けられる看板もあります。でも2階、3階と高くなってくると、高所作業車が必要になることがあります。そうなると、看板本体、取り付け作業、高所作業車、場合によっては交通誘導。こうした費用が加わります。
だから、「看板そのものはそんなに大きくないのに、なぜこんなに高いんですか?」と思われることがあります。実は、看板本体ではなく、取り付ける場所にお金がかかっているということもあるんです。
これはテナント選びのときから考えておいた方がいいことでもあります。2階以上の店舗は、1階店舗より看板を付けるコストが高くなることがある。以前の「看板製作で失敗する人の共通点」でも書きましたが、テナントを契約してから看板のことを考えると、思わぬ費用がかかる場合があります。
立体看板やLEDチャンネル文字は、なぜ高くなるのか
立体看板には、平面看板とは違う工程があります。立体造形を作る。文字や形を加工する。場合によっては塗装する。内部に照明を入れる。構造を考える。取り付け方も考える。その分、手間が増えます。
LEDチャンネル文字も同じです。文字そのものを立体的に作って、内部や背面にLEDを入れる。普通の平板看板とは、作り方が違います。だから価格も変わります。
でも、その分、夜に目立つ。高級感を出せる。文字そのものを印象づけられる。というメリットもあります。看板価格だけを見ると高く感じるかもしれません。でも、その価格差で何ができるようになるのかまで見てほしいと思います。
看板の種類によって価格はどう違う?
ここでは、あくまで大きな傾向として考えてください。
一番シンプルなのは、アルミ複合板などを使った平面看板です。比較的作りやすく、価格も抑えやすい。置き看板やA型スタンド看板も、サイズや仕様によっては数万円台から考えられます。
欄間看板や壁面看板は、大きさによって価格差がかなり出ます。袖看板は、本体だけでなく取り付け金物や施工条件も価格に影響します。立体看板、チャンネル文字、電飾看板などは、加工や照明が入る分、価格は上がりやすくなります。そして屋上看板や大型の壁面看板になれば、100万円を超えることも珍しくありません。
大事なのは、種類だけで価格を判断しないこと。同じ種類でも、大きさと施工条件でかなり変わります。看板の種類については、前の記事で詳しく書きました。
看板価格だけで決めない方がいい理由
私は、安い看板を否定するつもりはありません。予算に合う看板を作ることは大切です。でも、「一番安いから」だけで決めるのはおすすめしません。
なぜなら、看板は買った瞬間に役目を終えるものではないからです。そこから何年も働きます。毎日、人に見られます。お店が閉まっているときも働きます。
私は昔から、「看板は24時間働いてくれる営業マン」と言っています。例えば20万円の看板を5年間使うとします。ざっくり考えれば、1日100円ちょっとです。その金額で、毎日、雨の日も、夜も、お店の存在を知らせ続けてくれる。そう考えると、看板価格の見え方が少し変わると思います。
もちろん、高ければいいわけではありません。100万円の看板だから100万円分集客できるとも限りません。大切なのは、その看板に、どんな仕事をしてもらうか、です。
見積もりをもらったら、ここを見てほしい
看板屋から見積もりをもらったら、総額だけでなく、中身も見てください。看板本体、デザイン、施工、照明、高所作業、既存看板の撤去、電気工事。こうしたものが、どこまで含まれているのか。
そしてもう一つ。私は、提案の内容も見てほしいと思っています。同じ20万円でも、言われたものをそのまま作る20万円と、現地を見て、見え方や人の流れまで考えて提案する20万円は、同じではありません。
看板製作は、材料を買うだけではないんですね。そこに何を付けるか。どこから見せるか。何を書くか。そこまで含めて考えてみてください。
看板価格で迷ったら、「何を残すか」を考える
予算が足りない。これは普通にあります。そんなとき、全部を安くするのではなく、「何を残したいか」を考えるといいと思います。
大きさは残したい。夜も見えるようにしたい。立体感は残したい。店のイメージは崩したくない。その中で、どこを変えられるのか。例えば、電飾をスポットライトに変える。材料を変える。構造をシンプルにする。こういう調整ができます。
安くするというより、予算の中で一番働く看板を作る。私は、こっちの方が看板屋らしい考え方だと思っています。
看板価格は「いくらで作るか」だけではない
「看板って、いくらですか?」という質問から始まりました。
安いものなら数万円。一般的な小規模店舗なら、製作と設置で20万円くらいから。大きな看板や立体造形、LEDチャンネル文字、電飾看板などになれば、100万円を超えることもあります。かなり幅があります。
でも最後に考えてほしいのは、いくらで作るかだけではありません。その看板に、何年、どんな仕事をしてもらうのか、です。
小さくして安くした結果、見えなかったら意味がない。高い材料を使っても、お客様に伝わらなければ意味がない。必要なのは、一番安い看板でも、一番高い看板でもなく、そのお店にとって、ちゃんと働いてくれる看板。私はそう思っています。





