「東京で看板屋を探しているんですが、どこに頼めばいいでしょうか?」
もし友人からこう聞かれたら、私はまず、
「ホームページの施工実績を見てみたら」
と答えると思います。
東京には本当にたくさんの看板屋があります。
「看板屋 東京」「看板製作 東京」などで検索すれば、何社も出てきます。
価格が安い会社。
デザインを売りにしている会社。
大型看板が得意な会社。
店舗看板が得意な会社。
自社工場を持っている会社。
営業を中心にしている会社。
看板屋とひと言でいっても、中身はかなり違います。
だから、
「どこに頼んでも同じでしょ」
と思って価格だけで決めてしまうと、後から、
「思っていたのと違ったな」
となることがあります。
では、良い看板屋はどうやって見分ければいいのか。
長く看板の仕事をしてきた立場から、私ならどこを見るかを書いてみます。
まず見るのは施工実績
私が最初に見るなら、施工実績です。
でも、
「施工実績が1000件あります」
とか、
「有名企業の看板を手がけています」
という数字や会社名だけを見るわけではありません。
何を作ってきた会社なのか。
そこを見ます。
看板屋にも得意不得意があります。
大手企業やチェーン店などから決められた仕様を受け取り、それを正確に製作・施工する仕事を得意としている会社があります。
一方で、小さな店舗から直接相談を受けて、
「この場所なら、こんな看板がいいですよ」
と提案する仕事を得意にしている会社もあります。
どちらが上という話ではありません。
求められる力が違うんです。
決められた図面を正確に製作し、安全に施工する力。
これは非常に大切です。
でも店舗オーナーが、
「どんな看板を作れば集客できるのか分からない」
という状態から相談するなら、それだけでは足りません。
提案力とデザイン力が必要になります。
だから施工実績を見るときは、数だけでなく、その中身を見てほしいと思います。
有名なチェーン店の実績だけでは分からない
ホームページを見ていると、有名なチェーン店や大手企業の看板がずらっと並んでいる会社があります。
見る側からすると、
「こんな有名な会社の看板をやっているんだから、きっとすごい会社だ」
と思いますよね。
もちろん、製作力や施工力を見るうえでは参考になります。
ただ、店舗の看板を相談するときには、もう少し違う見方もしてみてください。
大手チェーンの看板の場合、あらかじめデザインや仕様、サイズなどが決められていて、看板屋はその図面通りに製作・施工する仕事も多くあります。
つまり、有名企業の施工実績が多いことと、あなたのお店の看板をゼロから提案する力があることは、必ずしも同じではありません。
ここは意外と知られていないと思います。
私はむしろ、小さなお店の施工実績を見ます。
個人経営のお店なのに、看板がおしゃれにまとまっている。
建物の雰囲気に合っている。
店舗ごとにデザインが違う。
さらに完成写真だけではなく、
「こんな提案をしました」
という提案図面まで掲載されている。
そういう実績を見ると、
「ああ、この会社は言われたものを作るだけじゃなく、ちゃんと考えているんだな」
と感じます。
有名店を何店舗施工したかよりも、自分と同じようなお店に、どんな提案をしているか。
店舗オーナーなら、私はそこを見た方がいいと思います。
看板屋のホームページには会社の性格が出る
初めての看板屋に問い合わせる前に、ホームページはけっこう見た方がいいです。
施工実績。
デザイン。
会社概要。
どんな設備を持っているのか。
製作はどこでしているのか。
施工まで自社で行っているのか。
ホームページって、意外と会社の性格が出るんです。
例えば、きれいな完成写真だけではなく、
「お客様からこんな相談がありました」
「現地を見て、こんな提案をしました」
「当初の案からこう変えました」
という説明があれば、提案型の看板屋であることが見えてきます。
逆に、同じ仕様のチェーン店施工ばかりが並んでいれば、その会社は大量製作や施工を得意としているのかもしれません。
自分が欲しいのは何なのか。
ここを考えてから見ると、施工実績の見え方が変わります。
営業専門の看板会社かどうかも確認する
看板会社にはいろいろな形があります。
営業を中心にして、製作や施工を協力会社へ依頼する会社もあります。
これ自体が悪いわけではありません。
看板の仕事は、昔からいろいろな専門業者が協力して進めることがあります。
ただ、私は、実際に誰が製作して、誰が施工するのかは確認した方がいいと思っています。
特に看板は、最後に建物へ取り付ける仕事です。
安全が関わります。
だから、
「この看板はどういう構造なんですか?」
「どうやって取り付けますか?」
「施工は自社ですか?」
と聞いたときに、きちんと説明できる会社の方が安心です。
私自身は、自社で製作や施工まで対応できる会社を、一つの安心材料として見ています。
見積書の「一式」が多すぎないか
次に見たいのが見積書です。
看板の見積もりを取ると、
「看板製作施工 一式 ○○万円」
という形になっていることがあります。
もちろん、細かく分けにくい仕事もあります。
だから「一式」という言葉そのものが悪いわけではありません。
でも、ほとんど全部が「一式」だと、何にいくらかかっているのか分からないですよね。
看板本体。
デザイン。
取付工事。
電気工事。
高所作業車。
既存看板の撤去。
運搬費。
少なくとも、大きな費用については、ある程度分かる見積書の方が私は安心です。
前の記事でも書きましたが、看板価格は本体だけでは決まりません。
2階以上なら高所作業車が必要になることもあります。
電飾看板なら電気工事もあります。
だから見積金額だけではなく、何が入っている金額なのかを見ることが大切です。
問い合わせをしたとき、すぐ見積もりを出す会社が親切とは限らない
問い合わせをしたら、すぐに見積もりを出してくれる。
一見すると、
「仕事が早いな」
と思います。
もちろん、作る看板が完全に決まっている場合は、それでもいいと思います。
例えば、
「このサイズ、この仕様で作ってください」
と決まっているなら、早く見積もりが出る方が便利です。
でも、
「どんな看板がいいか分からない」
「集客できる看板を提案してほしい」
という相談なら、話は別です。
私なら、まず話を聞きます。
どんなお店なのか。
誰に来てほしいのか。
今、何に困っているのか。
どんな看板を考えているのか。
予算はどのくらいなのか。
必要ならオンラインで打ち合わせをします。
あるいは実際に店舗へ行って、現地を見ます。
それから提案して、見積もりを出します。
なぜかというと、話を聞かなければ提案できないからです。
だから看板屋を選ぶときは、見積もりが出てくる速さより、見積もりを出す前に何を聞いてくれるか。
そこも見てみるといいと思います。
「無料デザイン」という言葉だけで選ばない
「無料でデザインします」
「デザイン料0円」
という言葉を見かけることがあります。
もちろん、料金体系は会社によって違います。
ただ、デザインを作るには、人が動きます。
時間もかかります。
完全にコストがゼロになるわけではありません。
見積書の中に「デザイン費」という項目がなかったとしても、会社としては製作費なども含めた仕事全体の中で考えているはずです。
だから、
「無料だから得だ」
というだけで会社を選ばなくてもいいと思っています。
私の場合、いきなり完成デザインを何案も作ることはしません。
まずお店のコンセプトを考えます。
どんなお店なのか。
どう見られたいのか。
誰に来てもらいたいのか。
そこを話して、
「だったら、こんな感じの看板はどうですか」
という方向性を決めていきます。
ある程度の合意ができて、実際に依頼していただけそうな場合に、具体的なデザインを作ります。
私の場合、多くは2案くらいです。
5案、10案と出すことが大事だとは思っていません。
それよりも、
「なぜ、このデザインなのか」
を説明できることの方が大事です。
東京なら、近い看板屋を選べばいいのか
「東京で看板屋を探すなら、店から近い会社の方がいいですか?」
近いことにはメリットがあります。
現地調査に来てもらいやすい。
運搬費や諸経費を抑えられることもある。
何かあったときも相談しやすいでしょう。
でも私なら、近さだけでは決めません。
やっぱり施工実績と提案力を見ます。
看板は決して安い買い物ではありません。
しかも、何年も使います。
だったら数キロ近いかどうかより、
「この会社なら、自分のお店に合った看板を考えてくれそうだ」
と思える会社を選んだ方がいい。
東京には看板屋がたくさんあります。
選択肢が多いからこそ、近い会社を探すより、自分のお店に合う会社を探す。
私はその方がいいと思っています。
東京の夜間工事では、近隣への配慮も見る
東京で看板工事をしていると、夜間施工になることがあります。
店舗の営業が終わってからしか作業できない。
道路や施設の都合で夜しかできない。
いろいろあります。
そんなときに気を使うのが、近隣への騒音です。
看板工事では電動工具を使います。
金属を加工することもあります。
昼ならそれほど気にならない音でも、夜になると結構響きます。
特に住宅が近ければ、なおさらです。
看板をきれいに取り付ければ、それで終わりではありません。
周りに迷惑をかけず、きちんと工事を終わらせる。
こういうところも、施工経験のある看板屋なら考えます。
派手なホームページだけでは見えにくい部分ですが、実際の看板工事ではかなり大事なことです。
一番安い会社ではなく、一番納得できる会社を選ぶ
以前、何社かの看板屋と競合になった案件がありました。
うちの見積もりは、一番安かったわけではありませんでした。
それでも、お客様はうちを選んでくれました。
理由は、
「提案内容が一番よかったから」
でした。
こういうときは、うれしいですね。
看板って、完成品だけ見れば、
アルミ。
鉄。
シート。
LED。
そんな材料の組み合わせに見えるかもしれません。
でも本当に差が出るのは、その前だったりします。
何を作るのか。
どこに付けるのか。
どんな大きさにするのか。
何を書くのか。
どう見せるのか。
そこを考える力です。
だから、良い看板屋を選ぶなら、一番安い会社を探すことだけに一生懸命にならなくてもいいと思います。
施工実績を見る。
小さなお店をどう仕上げているかを見る。
提案図面を見る。
問い合わせをしたとき、話をちゃんと聞いてくれるかを見る。
見積書を見る。
製作や施工について説明できるか聞いてみる。
そして最後は、
「この会社の提案なら納得できる」
と思えるかどうか。
看板は高い買い物です。
だから私は、値段ではなく、納得して任せられる看板屋を選んでほしい。
そう思っています。





